物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

100回見るより1回やってみる

 どんなことでもそうだと思うが、100回見るより、1回やることのほうが圧倒的経験値となるように思う。ただ、それをついつい忘れがちになるので、備忘録的に書いておこうと思う。

 

 これを最初に感じたのは、やはり採血や点滴を取るときだ。最初は(一応)上級医の先生の手技を見て学習するのだが、正直見ていてもあまり実感はわかない。どこに注意しなくてはいけない、ここはこうするといい、とかいろいろと親切に教えてくれるのだが、あまり頭に入ってこない。

 ところが突然「じゃあやってみて」と言われて針を渡されると、途端に心拍数が上がり、急激に頭が回転し始める。

 「あれ、腕ってどうやって持つんだっけ…」

 「針の持ち方これであってるかな…?」

 「待って、深さどんな感じだっけか…?」

 まだまだ色々なものに注意が行っていなかったことに気づくも後の祭り。えいやととりあえずやってみることになる(もちろん模型で練習もしているのだが、いざ本番になるといろいろとすっ飛ぶのだ)。

 さていざ一回やってみると、二回目は結構スムーズになる。次はこうしよう、ああしようといろいろと考えて、結局それの一つか二つしか実行には移せないけど、それでも見ていた時とは比べ物にならないくらい、具体的な手順のイメージが湧く。もちろん針が深すぎたり、先に駆血帯外すの忘れたり、色々とミスはそのあとも続くのだけれど、少なくとも見ていただけの時とは比べ物にならないくらい手技が手になじむ。

 実はこれは採血や点滴の時だけでなく、初めて針で傷を縫う時や、中心静脈カテーテルというものを挿入するとき、気管挿管する時、色々な「初めて」は、すべて見ているだけの時より、「一回やった」ことによる経験値が圧倒的に勝っていたように思う。

 もっと一般の人に例えるなら、自動車の運転とかがそうではなかろうか。

 いくら自動車に乗るシミュレーションをしたとしても、1回乗ってみるのに比べたら圧倒的に経験値は違う。どんだけたくさん見たとして、自分の手で実際に動かしてみるまではイマイチイメージがわかないのだ。

 

 これはビジネスだろうが、国際支援だろうが、なんでも同じことが言えるように思う。常に頭の中に入れておきたい。