物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

今日勉強したこと:母乳と薬剤

 たまーには普通の医者らしく。今日勉強会で勉強したこと。母乳と薬剤について。

 自分が病気になったりしたときは薬を処方してもらうわけだが、赤ちゃんがいておっぱいを飲ませているとき、母乳を飲ましていいかについてはかなり悩むところだろう。

 実際医師としてそれを質問されたとき、実は多くの医者も悩むことと思う。

 医者は薬についてわからない時、患者に処方していいかわからない時、多くの場合添付文書といわれるものを参照にする。そして、多くの薬には、妊産婦、母乳栄養をしている母親には投与禁止と書かれている。

 しかし実際のところ、添付文書に書かれているものと、実際に科学的に副作用が認められているものには、かなり乖離がある。もっと言うと、実際は国際的な論文、大規模無作為研究で母乳を飲む赤ちゃんに影響がないことがわかっているのに、濃度が規定値を超えると添付文書では投与禁止となってしまう例が多い。

 これは成書にもよるが、例えばインフルエンザのタミフルは、母乳栄養中に(母親が)内服しても、母乳を飲む赤ちゃんには明らかな影響は指摘されない。しかし、添付文書としては禁止とされている。

 では何はよくて、なにはダメなのか。一応以下の分類のようだが、詳細は結構成書やデータによって異なることが多い。目安としては

・抗菌薬:大体オッケーだがテトラサイクリン系、ニューキノロン系、クロラムフェニコール、ST合剤は微妙

・抗ウイルス薬:タミフルリレンザ、アシクロビルとかはおけ

・解熱鎮痛剤:大体おっけ、高容量アスピリンには注意

抗ヒスタミン剤:大体おっけ、第一世代は高容量でなければおけ

・抗アレルギー剤:おけ

・造影剤:おけ

・市販感冒薬:大体おけ、コデインは注意(スーパーメタボライザーの場合はまずい)

抗がん剤放射性物質、精神神経系薬剤(特にベンゾジアゼピン系、フェノバルビタール)、アミオダロン、テオフィリン、チニダゾール、メトロニダゾール、メトクロプラミドあたりは注意。

・アルコール、麻薬も注意。

・タバコはだめ(母親の血中濃度の3倍くらいの濃度で母乳に入る)、ニコチンパッチもだめ。

 

 とのことだ。とはいっても、薬の飲み合わせなどに応じて実際は結構変わるし、造影剤とかは母乳関係なくアレルギーの人もいる。

 

 自分が処方する時は、注意してエビデンスを集めようと思う。