物語を現実に

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怒りや苛立ちの原因は、結構違うところにある

 人間だれしも怒りや苛立ちを覚えるものだが、もし普段からイライラしやすかったり、怒りっぽいという自覚があるなら、その原因はもっと違うところにあるのかもしれない。

 例えば小さい子供をもつ母親が、子どもがちょっと物をこぼしただけで烈火のごとく怒り、叱り飛ばしたりするが、外側から冷静にみると、ちょっと異様に見える。もちろん毎回毎回こぼしてて全然改善しないとか、本人も直す気がないとかいろいろな理由をその時つけるんだろうけど、それでもそんな毎回過敏に反応して怒鳴り散らすのはやはりおかしい。

 そういった家庭環境の親子を診て、その状況を紐解いていく中で見えてきたのは、親が何かどうにもならない苛立ちや怒り、悲しみや劣等感を、子どもにぶつけたりしているケースが多いという事実だ。

 自分の中にため込んだそういったもやもやを、どうにか吐き出す場所を探して、何か付け入るスキがあると、そこに対して噴き出すように浴びせかけ、自分の鬱憤を解消したりしている。その場合、往々にして母親は、自分の行動がそういったストレスに対する代償行動ということに気づいていない。

 別段これは親子関係に限らず、例えば会社で肩身が狭かったり、上からなじられたり同僚とうまくいってなかったりすると、自分の部下の小さいミスをあげつらねてネチネチと責めたり、怒鳴り散らしたりするのもこれに当たる。ミス自体は大したことないが、その人が鬱憤を解消したいがために、部下に対して激しく叱咤することで晴らすのだ。

 これは本人に改善する意志がないととても難しいが、もし自分でそういった怒りっぽかったり過敏なところを改善したいと思うなら、自分がもしかしたら直接的にではなく、何か間接的にもやもやや暗い気持ちを抱えているのかもしれない、それをぶつけているのかもしれない、と考えてみるといい。

 自覚すること自体がとても難しいことではあるが、自分の怒りや悲しみの出所がわかると、それだけで人に異様に攻撃的に当たることは多少少なくなる。

 

 逆に、もし周りにそういう人がいて自分が八つ当たりの対象になっている場合、上司や先輩だった場合はできるだけ距離をとることをお勧めする。これが母親や父親だった場合は難しい。簡単に離れる、という選択肢が取れないし、自分自身も八つ当たりされているとはいえ、好きだったりするからだ。この時どうすればいいかは難しいが、もし可能なら、自分の意見をしっかり持って、きっちり向き合うことでしか解決はしないだろう。

 しかしこれが大人ならそういった選択肢も取れるが、自分がまだ学生だったりする場合は難しい(小学生や中学生とか)。その時は、まずはメンタルの安定を図れる場所を探すしかない。できれば心優しい大人が近くにたまたまいてほしいところだが、それが期待できないなら、カウンセラーの人などに頼ってみてもいい。とにかく、一人ぼっちにならないことが大事なように思う。

 

 怒りや苛立ちは、対象そのものに対してでなく、別のことでたまったネガティブな感情をぶつけているだけのことも多い。自分でそういった傾向があると思うなら、自分の怒りの源泉を自覚できるよう、立ち止まって考えてみるといいかもしれない。