物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

母親との関係がその後の人間関係を左右する

 今回はどちらかというと小さい子供がいる母親にこそ届いてほしい記事である。

 児童精神科領域系の患者を診ていると、少なからず母親との関係がうまくいっていないことが多い。母親がコントロールしようとしていたり、どうにか枠に当てはめようとしていたり、とかく「あんたはだめだ」「こうしないとだめだ」「なんでこうしないとできないんだ」と言って叱ったり怒鳴ったりしていることが多い。そうした結果、子どもが萎縮して何も言わなくなったり、怯えて怖いがために従ったり、逆に反発してかんしゃくを起こしたりする。

 そうやって母親に対して戦ったり、萎縮して自分を否定的になっていると、外の世界での人間関係においても、愛着形成が上手くいっていないため、他人を信頼することができず、友達のことが信用できなかったり、大きくなって結婚した後も、旦那や奥さんに対して疑り深くなってしまったりする。たとえいい友人や恋人に会ったとしても、その人を信用できなくて、結局信じ切れず自分の方から離れてしまったりする。

 では母親が悪いのかというと、実はそうではない。そうやって来院される子どもの母親は、ほとんどが自分の子どものために必死で考え、どうにか健やかに育ってくれないかとあらゆる手を講じている。彼女らは子どものために必死なのだ。それがうまくいっていないだけである。

 またさらに見てみると、そういった母親は、得てしてその母にも同じように厳しくしつけされたり、否定され続けたり、ひたすらダメ出しされて育ってきていることがおおい。なので、自分が受けた教育しか知らないため、自分が受けてきたそういったダメ出しや否定、厳しいしつけを、自分の子どもにもしてしまう。そして同じことが繰り返されがちだ。

 しつけをすることが悪いことではないが、多くの場合、子どもをコントロールしようという意図でしつけをする場合、うまくいかないことが多い。

 私はまだ医者としてほぼ初心者だし、精神科の医者でもないし、患者をたくさん診ているわけではないが、それでも、母親に否定されない、きちんと愛してあげる、子どもを信頼し、子どもに信頼される、という基本的な姿勢を作ることが、その子の今後の精神的健康に非常に大事であるということはわかってきた。

 まだまだこれから、いろんな患者を診て情報をアップデートしていこうと思うが、今日のこの記事が、もし届くなら、子育てに悩む母親に届いてほしいと思う。