物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

頭のメモリを消費してないか?

 これはよく言われる話だが、人間が一日で決断できる、ないしは思考できる量は限られているといわれている。言うなれば頭の体力といったところだろうか。

 頭の体力は何もせずとも一日のうちに消費し続ける。今日どの服を着ていこうか、電車はどこの車両に乗ろうか、自販機で何を買おうか。そんな日々の小さな小さな選択の中で、ちょっとずつ消費していく。

 選択することだけでなく、思考することでも当然消費していく。後輩の歓迎会の企画、彼女の誕生日プレゼント、仕事上のアイディア等々…人は毎日頭脳の体力を消費しながら考え事をしている。

 そしてこれは人間の面白いところだが、いくつかのことを同時並行で考えるのを頭脳は苦手としている。例えば彼女とのデートのことを考えながら明日の仕事のプレゼンに集中することは難しい。部活について悩み事がある中ではなかなか勉強には身が入らない。ちなみにこの同時並行思考を最も得意とするのはいわゆる主婦(主夫)という仕事だろう。

 では逆に考えると、集中できるときとは何か?それは、頭の中の思考体力が、余計な何かに奪われていないことだ。この時、パソコンの、メモリという考えを使うと、とてもわかりやすくなる。

 パソコンは、メモリと言われる、いわゆる作業台の広さを表すような値がある。

 このメモリが大きければ大きいほど、パソコンは同時に色々なことが行える。例えばエクセルを開きながら、pdfで資料を見ながら、Youtubeを聞いたりできる。しかしもちろんだが、色々なことを同時に行いすぎると、作業台が手狭になって作業効率が落ちる。なので、パソコンのスペックに応じて、並行する作業の数は少なくすることが大事だ。

 さて人間にこのメモリという概念を当てはめると、人間は残念ながらとても小さいメモリしかもっていない。同時に二つ以上のことを考えるだけで、処理速度が大幅に落ちる。なので、できれば一つずつ実行していくことが好ましい。

 

 しかし、ここで注意したいのはバックグラウンドで動いているプログラムだ。

 パソコンにはバックグラウンドで実行するプログラムという、使用者からは見えていないが実行されているプログラムがいくつもあり、それがパソコンのメモリを圧迫してしまうことがある。その場合は、ある程度アンインストールしてすっきりさせないといけない時がある。

 これは実は人間にも当てはまる。人間はいくつも意識せずともバックグラウンドでプログラムを実行している。つまり、たくさんのことを同時並行で考えてしまっている。それらは時として表層意識に現れるし、時として沈んだままだ。例えば毎日やっているスマホゲームの戦略をふと頭の中で考えているときや、twitterで見た画像についてなんとなく考えているときなどだ。

 これらは実は人間の脳のメモリを、意識的にも無意識的にもかなり食っているのだが、自分では気づかないことも多い。ただ、自分がスマホゲームの戦略を練るのにいつの間にかたくさん時間を使っているとき、そういった事実に気づく。そしてその時は、すでに表層意識で頭の思考体力(メモリ)を食っているのだ。

 別段スマホゲームに没頭することが悪いことだとは思わない。楽しいのだし、趣味ならば好きにやればいいと思う。

 ただ、自分の頭の思考体力(メモリ)が、いったい何によって毎日使われているのか、ということはきちんと考えておいたほうがいいように思われる。

 そう、人間は簡単に楽しく考えられるほうに思考を向けがちだ。また、後回しにすることで(実はメモリを圧迫しているにもかかわらず)できるだけ楽をしようとする。

 自分のメモリがどのくらいで、もし有効に活用できていない、有効活用したいと感じるなら、毎日なににそれらを使っているのか、しっかり振り返ってみるといい。私もそうする。