物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

断酒会に参加してきた

 断酒会というものに参加してきた。

 一応付け加えるが、私自身はアルコール依存ではなく、医療者側としての参加である。今までそういう存在があるということは知っていたが、実際どういうものなのだろう、ということは気になっていた。

 

 いくつか思うところはあった。まず、例会はとりあえず1時間とそこまで長いものではなかった。一人一人が簡単にそれぞれ話して、それで終わりと、結構あっさりしたような印象を受けた。

 大体15人ほどいたが、これは普通より大体多いのではなかろうか。

 断酒の継続期間は人それぞれで、1か月くらいの人もいれば、年単位の人もいた。

 同時にアルコール依存の家族の方も例会には参加していて、本人たちより家族たちのほうが不満を爆発させていたのは印象的であった。

 そして、共通してみられることとして「わかってもらえない」「孤独」といったものから逃げるために、お酒を飲んでいる印象であった。

 たばこ、薬、ゲーム、SNS、ギャンブル、セックスなどでもそうだが、人間はわかってもらえない寂しさ、孤独感からこういった依存物質・行為にはまってしまうことが多い。

 これらは人が抱えている「孤独感」「絶望感」「不安感」など、マイナスの感情をつかの間癒してくれる。決して悪いものではないのだ(薬は犯罪だが)。

 だから、これら依存症の治療において大事なのは、この「わかってもらえない」「孤独感」を癒してくれるような、そんな人間関係や社会生活を作っていくことだ。

 まず自分のことをわかってくれる人を作るのは非常に難しいが、結局それが依存症の治療のカギになる。

 実際に断酒会に参加されてきた人たちで、「断酒をしてから家族との会話が増えた」「子どもが話してくれるようになった」「妻や子供の笑顔が何より大事だと気づいた」など、今ある人間関係のありがたさに気づき、改めて断酒を継続しようと心に誓った、という人は多かった。

 解決には長い時間がかかるかもしれないが、結局は自分が大事にして、自分を大事にしている人間関係が重要なのだろう、そう感じさせてくれた断酒会であった。