FACTFULLNESS-あなたはチンパンジーより賢いだろうか?-
あなたは世界の真実を知っているだろうか??
質問1
世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子どもはどのくらいいるか?
(A)20% (B) 50% (C)80%
質問2
いくらかでも電機が使える人は、世界にどのくらいいる?
(A)20% (B) 50% (C)80%
これは本の帯にも出てくる、シンプルかつ強力な質問だ。
ハンス・ロスリング(そしてその息子のオーラ、オーラの妻のアンナ)により刊行された著作、『FACTFULLNESS』では、このような質問が繰り返し出てくる。
さて上記の質問、あなたはどう答えただろうか?
我々日本人は基本的に恵まれており、世界の多くの国はいまだに貧困にあえいでいる…社会の授業でこう習ったことはないだろうか?
そして多くの日本人(どころか世界の多くの頭のいい人たち)はこの問題を間違える。
正解は両方とも(C)、80%だ。実際はどちらも80%以上ある。
我々は多くのテレビで、世界の人はまだまだ貧困に苦しんでおり、きれいな水が飲めず、満足な医療を受けられず、電気のない生活をしていると思っていないだろうか?
実際にそういう生活をしている人たちはいる。世界の人口を大体70億人とすれば、そのうち10億人は、まだそういう生活をしているといえる。
一方で、残りの60億の人達はそうではない。
まず次の30億人は、満足に高校まで行けているかは別にして、最低でも女の子も同じように初等教育を受けられて、予防接種も一応受けられる。寒さをしのぐためのストーブもある。電気も安定的ではないものの、使えるときもある。
その次の20億人は、蛇口をひねれば水が出てくるところに住んでいる。高校を卒業し、給料をもらって生活をするようになり、自前のバイクを買ったりしている。当然電気も安定的に使えるし、予防接種が受けられないといった生活からはおさらばだ。
最後の10億人は、いわゆる日本人や多くの先進国の世界に近いだろう。なので割愛する。
そう、少なくとも慈善活動団体などのポスターでよく言われている「満足に食事ができず、きれいな水が飲めず、予防接種も受けられない」ような人たちは、実は世の中の20%に満たない。
ただ、我々は小さいころから「世界の多くの人は貧困に苦しんでいる」と勘違いしている(気を付けてほしいのは、そういう人たちは実際にまだまだいるということだ。決してそこをないがしろにしたいわけではない。ただ、割合の問題である)。
昔「もし世界が100人の村だったら」という体で豪勢な食事~貧しい食事の比較をした授業があったりした。
あの時はそれが事実だったかもしれない。しかし、今その割合は大きく異なってきている。世界は、多くの人々の努力により、確実に良くなってきている。
また、「アジアやアフリカの国々はまだまだ発展途上である」という思い込みも危険だ。
私の身近な例を挙げてみても、例えばインドネシアやネパールといった国々は、日本に比べて遅れている印象があるかもしれないが、その国の大学生たちと触れ合ってみると、当時医学生だった私より圧倒的に勉強ができて優秀だった。
バングラディシュに2週間視察に行った時も、「治安が不安定で貧しい国」といった印象と裏腹に、多くの人がスマホを持ち、女性は積極的に男性と交友を深め(バングラディシュは世界有数のイスラム系の国である)、一般的な学生たちが韓国や中国に留学していた。
これはあくまでも一例だが、我々はこの世界について多くの勘違いをしている。そしてその勘違いを一瞬にして気づかせてくれるのが、このFACTFULLNESSという本だ。
ぜひ読んでみてほしい。
もし「まずは自分がどれだけ世界を知っているか試してみたい!」
という方がいたら、次のサイトをお勧めしておく。
https://factquiz.chibicode.com/
これには、本書に出てくる12の質問がまとめられている。