地方に来て感じた東京都の格差
【はみ出し者が少ない】
就職を機に田舎といわれるような場所に引っ越した。基本的には長くは住まない予定だが、初めての地方だ。日本で一番長く住んでいたのは東京なので、どうしても東京との違いが目に見えてくることがある。その中で最も感じた点は、「圧倒的人的資本の違い」、特に「はみ出し者」の少なさである。
この場合のはみ出し者というのは、「あえて多くの人と違うことをする人」である。例えば普通は大学に行って就職するところを、いきなり起業する人とか、仕事を途中で辞めてニートをしてみるとか、不登校でフリースクールに通うとかそういう人である。
もちろん人口的な面に寄る差がとても大きいのだが、地方ではいわゆる少数意見を持つ人の絶対数がどうしても少なくなる。そうなるとどうなるか?少数側の人間の居場所がとても少なくなる。
東京というところは、マイナーなジャンルや趣味嗜好であっても、ほぼ必ず同じようなものが好きだったり、同じような境遇の人がいたりして、その人たちで小さいながらもコミュニティが作れるため、心の安定が図れるのだが、地方だとそうはいかない。
例えば私の場合、医者でありながら主たる関心分野は教育であり、将来的には教育×医療×ビジネスの領域に携わりたいと思っているが、当然のようにこういうことを考える医者は周りにいない。
東京では起業をしている医者もいるし、そこまではいかなくとも、ビジネス領域に興味のある医療従事者は多い。もちろん大多数の人は眉をひそめるだろうが、それでもそんな少数派の人たちで集まり、共感を得られることは個々人にとって非常に大きい。
これが地方になると、途端に仲間を見つけるハードルが上がる。絶対数が少ないがゆえに、そういった少数派を見つけることがとても難しくなる。
結果自分のやりたいようにはできず、かつ多くの人から「お前は間違っている」と(直接的にであれ間接的にであれ)言われるため、自分の意志を貫くのが難しいように思う。
私自身はほとんど意志・想いのところは固めた状態で来たのであまり左右されることはないが、やはり同志や仲間が見つかりやすい東京というのは、何か新しいことを始めたり、はみ出したりするのにとてもいい環境なのだな、と感じた。
じゃあ地方で生まれた人はどうすればいいのか?というところだが、色々考えたが、正直その地域に特別な思い入れがない以上、やっぱり東京など都会に出てくるのが一番いいように思う。
そこで同じような志の仲間と切磋琢磨したうえで、その上で地方に戻るほうが、結局は自分がつぶれずに済む気がする。
これは地方が悪いとか都会がいいとかそういう問題ではなく、純粋に人口の問題なように思う。だが、それでもその差は大きいと実感した。