物語を現実に

この現実世界が、ファンタジーのような感動にあふれた世界になりますように。

思春期の脳の発達(適当に和訳)

私は医者だが、教育に興味のある人だ。

なので、教育神経科学の分野はとても興味がある。

教育神経学的領域はまだまだ日本では全然研究されていない分野なので、論文は全部英語だ。日本語はほとんどない。悲しい。

なので自分の勉強がてら、興味のある論文の和訳(適度にはしょったり意訳したりしながら)をしてみよーかと思う。

今日は以下の論文。

 

思春期の脳の発達について

Dumontheil, I. (2016). Adolescent brain development. Current Opinion in Behavioral Sciences, 10, 39–44.

http://eprints.bbk.ac.uk/15037/1/15037.pdf

 

<Introduction>

思春期は子供と大人の橋渡しの時期。

基本的には思春期の兆しが見えたころから、社会的に一人の人間として自立したときまでとされている。

思春期の時期や長さは歴史によって、文化によって違う。

ここ20年くらいの間に、MRIなど、思春期における健常な脳の発達というものが研究されてきた。

脳の体積自体は子供の終わりの時期くらい(いつだこれ??12歳くらい?)で完成するが、思春期は、脳の構造や機能が部分的に大きく変わることによって、思春期特有の脳の反応や行動を起こすことが分かった。

最近の発見をレビューしてみよう(そして願わくば教育やトレーニングに活用できるように)。

<脳の構造的成長>

最近のMRIで分かったことは、思春期の脳の発達においては、白質(ミエリン鞘で覆われた軸索のあるところ)と、灰白質神経細胞体とか樹状ツリーとかシナプスがあるところ)の二つが大きな変化をするというところだ。

また最近の研究で、白質の体積は最初の20~30年は単純増加する一方、灰白質は学童期にピークを迎え、思春期には減少することが分かった。

<白質>

白質の体積の増加は、軸索が長くなるのと、ミエリン鞘が増えることが理由と考えられている。DTI(拡散テンソル画像)という撮像技術により、白質の軸索について調べることができるようになった(Fractional antiotrophy(異方性比率:FA)とMean diffusivity(平均拡散能:MD)を用いて水素の方向性と拡散能を調べる)。DWIを用いて初めて行われた研究では、思春期の発達に伴い、白質の非線形的発達(特に前頭葉)で見られた。

面白いのは、この発達にはかなり個人差が見られたということ。下縦束と下前頭後頭束において、40~50%の19~32歳の人は、FAの上昇が見られたが、5~15%の人は減少した。

これらの差は、多くは思春期に現れる精神疾患を説明する一つのポイントになるかもしれない。

<灰白質>

シナプス密度(どの程度神経細胞体が密集しているかを表す)は、出生後しばらくは上昇し、学童期にまず運動感覚野で減少し、その後思春期に前頭全皮質で減少する。

灰白質の体積の減少(シナプスの剪定によるものと考えられており、また前頭葉と側頭葉が頭頂葉及び後頭葉より後に成長することを示している)は、高い関連領域における脳構造の長期成熟を示している。最近の縦断的研究において、皮質の厚さの発達的な減少は、4つの葉(前頭葉・側頭葉・頭頂葉後頭葉)すべてにおいて、学童期および成人期初期と比較して思春期に加速する可能性があることを示唆している

こうした変化は意味があるものと思われる。というのも、思春期における遅い、また大きな前頭全皮質の厚さの変化は、高いIQと優れた音声的なワーキングメモリと関連しているからだ。

これらの研究は遺伝子研究に結び付けることができる。より賢い個体は、思春期に向かって、より長い間高い感受性を示す可能性が示唆される。

 

最後の文がうまく訳せん、よくわからん…笑

 

とりあえず今日はここまで!