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思春期の脳の発達(適当に和訳)その2

思春期の脳の発達について

Dumontheil, I. (2016). Adolescent brain development. Current Opinion in Behavioral Sciences, 10, 39–44.

http://eprints.bbk.ac.uk/15037/1/15037.pdf

これの和訳を勉強がてら続けるよー。

パート2!

 

<性と思春期>

性的成熟、体脂肪率の変化は思春期に大いに関係するが、この時期のホルモンの分泌のされ方が、脳の発達にどのように影響するかについてはほとんど知られていない。

 最近の思春期発達の研究や、思春期の人間の唾液内のホルモンを調べた研究では、年齢と思春期はそれぞれ独立して思春期の脳の発達に影響する可能性が示唆された。(例えば、男児であることと、皮質下領域の体積、皮質の厚さ、MRIでの白質における平均拡散能との関連など)。動物実験においては、アンドロゲンとエストロゲンはそれぞれ違う脳の違う領域に影響を及ぼす。性差による脳の違いはほとんどは脳の体積が違うことによるものだが、性差により皮質でも皮質下でも、ある特定の領域の脳の発達は観察される、そしてそれはもしかしたらホルモンの働き方の違いによる可能性もある。この性的二形(性別によって違いがあること、今回の場合は脳皮質の成熟の仕方の違い)は、認知と行動における性差(例えばリスクの取りやすさ、非社会的行動や、精神疾患の発症率の違いなど)をよりよく説明する枠組みを見つけるポイントになるかもしれない。

 

<ミスマッチモデル>

2008年に、二つの研究班が、児童や成人より、思春期でリスクを侵したり感動を求めるような行動をとることが観察されるのは、二つの脳の仕組みによるものだと主張している。

その主張とは、思春期特有のそのような行動は、皮質下領域の成熟(感情と報酬系を司る)が早期に来て、頭頂葉前頭葉、側頭葉皮質の成熟(自制と社会の認知)が後に来る、この時期の違いのミスマッチによるものではないかというものだ。

この主張はいささかシンプルすぎるものではあるが、例えば個々の皮質下領域の構造的変化が起こる時間の長さの違い(最近の研究では特に前頭前皮質の厚さと、側坐核と偏桃体の体積を比較したりしたものがある)の研究は、このミスマッチモデルを支持するものである。この研究では、前頭前皮質側坐核や偏桃体より後に、そして大きく変化することが示されており、また被験者のほとんどで(前頭前皮質の発達と側坐核や偏桃体の発達の)時間的ミスマッチが起きていることが示されている。

 

<脳の機能的発達>

脳画像イメージ技術の発達は、脳の構造的変化だけでなく、思春期の脳の機能的変化を研究することも可能にした。まずはEEG(脳波)と安静時の機能的結合が先に話に挙がるだろう。

しかし、思春期における自称関連電位の研究は少ないため、これからの項目では、fMRIの研究と、認知的・社会的・感情的発達におけるfMRIの研究に焦点を当てる。

 

<休止状態>

fMRIにおける、人間が休んでいる状態でのBOLD効果(脳の活動性の一つの指標)の変動との相関を調べたところ、成長発達段階では

  • 脳の近いところ同士の機能的つながりは減り、遠いところ同士の機能的つながりは増加
  • 脳の機能別区分内における機能的つながりは増加し、区分間での機能的つながりは減少した。

しかし、再度このデータを検証してみると、発達による脳の機能的つながりの増減の違いは、撮影時の体動による影響を差し引くと、最初の研究で言われていたよりは小さいことが示された(ちなみにこの撮影時の体動を、脳画像研究の世界ではどうにか対処しようとしている)。安静時とタスク遂行時の脳の機能的つながりの個人差は、思春期における認知能力と関連があることは重要な点である。脳波の一貫したパターン(脳区分ごとのコミュニケーションの強さを反映するとされる)は、少なくとも思春期の中盤までは継続して成熟する、そしてそれが若い成人における身体的スキルの取得を予期することがわかっている。活発な脳波が示された脳の機能的ネットワークと、MRIのトラクトグラフィー(白質などの神経線維束の走行様式を推定する方法)で示された構造的なネットワークに良好な相関が見えることは、構造的測定指標と機能的測定指標がリンクする可能性を示している。

 

 内容難しいな…少なくとも一般の人はわからないぞ…!?

まあいったん今日はここまで!