物語を現実に

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大学のサークル活動における新入生の上手な勧誘の仕方

 そろそろこの四月といえば、高校でも大学でも、新入生歓迎会の時期だ。大学ならサークルや部活の勧誘がたくさんある時期だろう。この時期の新一年生には、あちこちのサークルや部活に顔を出してみることをお勧めする。この時期なら別に実際に入らなくても問題ないし、もしかしたらむちゃくちゃ面白いサークルにも巡り合えるかもしれない。

 一方新入生を受け入れる側の先輩側にとっては、新入部員の確保はとても重要である。なんせサークルや部活というものは、どんなに栄えていたとしても、人が入ってこなくなればそれでおしまいなのだ。新入生に楽しんでもらい、できれば入ってもらい、一緒に大学生活を謳歌できれば、それに越したことはない。

 さて、新入生歓迎会やサークル・部活の勧誘をしていると、どうしてもコミュ力の差というか、勧誘を上手にできる人、そうでない人、上手なサークル、下手なサークルが存在する。

 俗にいうノリのいいというか、ウェイ系のサークルは明るく、楽しいような空気を醸し出すことができる(決して勧誘が上手というわけではないが)ため、そういう明るい空気を出すことが苦手なサークルより人が入りやすかったりする。しかし勧誘する際に大事なのは実はそこではない。別にウェイになる必要は全くない。

 私自身は比較的固めの空手の部活(といっても週三回程度)であり、入った時は部員数10人以下の弱小組織だったが、それでもウェイ系の組織に負けず、最終的には40人規模まで大きくすることができた(そもそも新入生が300人以下の小さい大学ではあるが)。特別なことをやったわけではないが、ある程度勧誘とは技術である。後輩に技術として教えていたものを、ここで少しだけ紹介したい。

【鉄則】

①新入生のニーズを把握する

②自分の組織の魅力的なところを把握しておく

③話題ツリーで会話をつなげる。

上記三つが鉄則になる。順番に紹介していこう。

 

①新入生のニーズを把握する

 新入生がサークル選びをするときの理由は当然それぞれ違う。新しいことに挑戦したい、運動を始めてみたい、以前から続けていたものがしたい、楽器がしたい、女の子と出会いたい等々…。ここのニーズの把握なくして、新入生を勧誘することは不可能である。以前からサッカー部で、大学でもサッカーがしたい!という子に、「和楽器サークル入ろうよ!」といっても若干厳しいものがある。ただ、ニーズは必ずしも一つではなく、複数持っていることがほとんどなので、どれか一つにでも合致していればよい。いずれにせよ、会話の中から彼らのニーズを把握する必要がある。

②自分の組織の魅力的なところを把握しておく。

 当然だが、人は魅力的でない組織には入らない。いいな、と思える点があるから入るのである。あなた自身も、当然なにかしらを魅力に感じているから入っているのだろう。それはなんとなく理解されているだろうが、ちゃんと相手に説明できるようになっているだろうか?相手に言葉で伝えられないと、新歓でわかってもらうことは難しい。

 例えば私の空手部の場合、ちょっと特殊な空手であったため、「初心者率100%」「でも全国大会優勝レベル、世界大会も行ける」「男女比1:1」「週3回がっつり練習だけど土日は空いている」「バク転やバク宙もできる、かっこいい」など、魅力的と思われる点をいくつも上げていた。それを①で聞き出したニーズに合わせて話していく。例えば「新しいこと始めたい」子なら、「経験者いないよ、初心者率100%!みんなヨーイドンで一から始められる!」といった感じだ。組織というのはいろんな面があるので、うまく合わせていけば多くの人に響くような話し方になる。

③話題ツリーで会話をつなげる。

 これは新入生の勧誘に限った話ではなく日常的にもよくつかう、会話を連鎖させる方法である。例えば「どこ出身なの?」みたいな話をして、「北海道」って答えられたら「おおー!めちゃ寒いじゃん!遠いところからようこそ!え、あっちってめっちゃ雪降るよね?」

「はい」

「そーだよね!そしたら体育とかスキーとかするの!?」

「しますよ」

「そうだよねー!あっちの人めっちゃスキー上手そう笑 え、そういえばなんかスポーツしてるの?」

といった感じに、出身→寒い話→体育→スポーツ歴といったように、話の主題をつなげていくことである。

 おそらく日常的にもこういう風に会話をしているだろうが、特に新歓や初対面の人と話すときは、これを意識してできると話題にそんなに困らない。

 ただ、もちろんそれ以上話を展開できなくて詰まってしまうことがあるだろう。そんな時は、話題をさかのぼって、別の幹に切り替える。例えばスポーツの話がこれ以上広げられなかったら

 「ってか北海道っていったらジンギスカンとかやっぱり日常的に食べるの??」

 みたいに、北海道のところまで話題の軸を戻して、食生活や食べ物の話につなげる。これが、枝葉のところから幹に戻って、別の枝を伸ばしていく様子が、話題ツリーと呼んでいる由縁である。

 新歓の時はどうせ話の始め方は決まっている(どこから来たか、どこの高校か、男子校か・女子校か・共学か、スポーツ・楽器経験、兄弟はいるか、一人暮らしかなどなど)ので、そこから展開される話もある程度決まってくる。スタートの仕方と、話題の変え方さえ覚えていれば、話題に困ることはあんまりない。

 そうして話題を続けていく中で、新入生にヒットしそうな話題を探していけばいい。どこかで盛り上がることができるはずだ。またそういった会話の中で、彼/彼女のサークル選びの基準などが見えてくることもある。

 

 以上三つの鉄則がきちんとできていれば、新入生の勧誘はある程度うまくいく。

 まずは自分の組織の魅力を把握し、次に話題ツリーで盛り上げつつ相手のニーズを把握し、そしてそのニーズに対し自分の組織の魅力を提示する。

 これは決して人それぞれのコミュ力とかに依存するものではなく、単純な技術の問題だ。だから誰でもできる。もし新入生の勧誘で困っているなら、ぜひ参考にしてみてほしい。

 最後にもう一度鉄則を挙げておく。

【鉄則】

①新入生のニーズを把握する

②自分の組織の魅力的なところを把握しておく

③話題ツリーで会話をつなげる。

 以上だ。